title

「毎日が酔曜日」http://wwwykk.sakura.ne.jp/
編集:大田拓、更新:2024 年 8 月 17 日

フェアープレイをしない人たち


1.フェアープレイをしない人達(都知事選)

今回の都知事選はまったく酷い選挙でした。
N党の問題は論外ですが、1位と2位がまともな選挙活動をしなかったのが大問題です。まともに選挙活動をして正々堂々と闘ったのは蓮舫さんだけです。蓮舫さんは残念ながら3位に終わりましたが、僕は未だに彼女を支持しています。
小池は自民党の支持をうけていないような顔をして、過去8年間で達成できなかった(ほとんどの)公約について触れず、仕事をしている振りをしただけでした。2位の石丸は、政策を語らず何かやりそうだとのイメージを印象付けるだけでした。
つまり、1位と2位はフェアープレイをしなかったという点で政治家として失格です。 こんな候補者に350万人以上の都民が投票したのですから、呆れてものが言えません。

東京都民の民意の低さを嘆くだけでは問題は解決しません。ともかく今後の選挙では「まともな勝負ができない」状況が起こりうることも想定して準備する必要がありますね。

2.フェアープレイをしない人達(トランプ元大統領)

あと数カ月でアメリカの次の大統領が決まります。トランプか、ハリスか、僕はトランプだけは勘弁してほしいと考えています。
温暖化をフェイクだと言う男をなぜ共和党員が支持するのか全く理解できません。
アメリカの大統領はアメリカ人だけの大統領ではありません。民主主義国家のリーダーですから、温暖化問題に率先して取り組んでくれないと困るんです。

トランプは、現職大統領を「ペテン師」だと呼び続ける非常識な男です。仮に敵であっても相手を尊重するのがフェアプレイであり、こういう卑怯な政治家はアメリカ人が最も嫌う人種のはずです。武士道精神のかけらもない男をなぜ共和党員は支持するのでしょうか。この男の振る舞いは「Make Amerika Great Again」ではなく、アメリカを貶めるだけです。こんな単純なことに気付かないアメリカ人はどうかしていると思いますね。
「衣食足りて礼節を知る」と言う言葉がありますが、トランプを支持する共和党支持者は衣食が足りていないのでしょうか。
アメリカ人は恥を知らないのでしょうか。

3.フェアープレイをしない人達(ふるさと納税)

市民税は自分の居住している自治体に納めるのが大前提ですが、ふるさと納税制度のため状況が代わってきました。非居住区に市民税の一部を寄付するとその返礼品がもらえるので、ふるさと納税の利用者が増えているとのことです。
横浜市ではふるさと納税による市民税の減収分が300億円に上るのだそうです。減収分の75%は国から交付されるのですが、それでもふるさと納税による横浜の減収分は300億円の25%=75億円になります。この結果、横浜では税収が不足して市バスを減便するなどの影響が出ており、特に高齢者が困っています。
市バスの便数減は運転手不足も一因だそうですが、税収が十分あれば、給料をアップして運転手を補充することもできますから、税収不足が大きな要因であることには変わりません。

僕はふるさと納税で横浜市以外に寄付する人は、日常の生ごみやぷらゴミも寄付先の「ふるさと」に送るべきだと考えています。横浜市に税金を納めない人たちの生ごみやぷらゴミを横浜市民の税金で処理する必要はありません。

このおかしな制度をつくったのは菅元首相(当時は総務大臣)です。彼は神奈川2区が選挙区で、横浜市の西区、南区、港南区から選出されています。 横浜市選出の有力国会議員が考えた政策が横浜市の税収を大幅に減収させているという事実を知らない横浜市民が多いのが問題です。
横浜市の西区、南区、港南区の人達は事情を知らずに菅に一票を投じたのでしょうが、なんとも腹立たしいことです。

この男は元横浜市議だったことから、今でも横浜市議会に大きな影響力があるそうです。 横浜市の財政局長は、ある公の席で「ふるさと納税で横浜市が大きく減収していることをどう思うか」と一市民から問われた際、「ふるさと納税は有効に活用されています」と答えました。横浜市の財政局局長が菅に忖度して言いたいことを言わないなんて、情けない話です。

政策の是非を正々堂々と議論せず、権力で批判を封じようとする卑劣な男が政府の中枢にいて、かつ横浜市議会ににらみを利かせています。
横浜市の西区、南区、港南区の皆さん、あなた方はフェアープレイをしない政治家に次の総選挙でも一票を投じるのですか。

4.元ゼロ戦パイロット達

最近、神立尚紀さんのゼロ戦に関する本を何冊か読みました。神立さんは、もとは写真週刊誌FRIDAY専属の写真家でしたが、たまたま太平洋戦争当時の戦闘機の飛行ショーを見学したことがきっかけで、昔ゼロ戦のパイロットだった人達と付き合うようになり、彼らの若き日の苦しみや戦後の足跡を書いています。

元ゼロ戦パイロット達の戦後は様々で、自衛隊が発足後、航空自衛隊に呼ばれて後進の指導に当たった人たちも多くいました。その一方で飛行機とは完全に縁を切ってビジネス面で活躍した人もいました。 39年前に日航機が墜落した群馬県境の上野村で混乱する現場を沈着冷静に取り仕切った当時村長の黒沢さんは、元ゼロ戦パイロットでした。 また戦争中はゼロ戦の振動問題の研究に取り組み、戦後は新幹線の振動問題の研究に尽くした松平さんなど、卓越した人材が多かったそうです。
彼らは上からの命令で国のために命をかけて必死で戦った英雄たちですが、「戦争の生き残り」の汚名を着せられて肩身の狭い思いをしながら生きてきた人も多かったそうです。

これらの本を読むと、日本の戦後の経済復興には戦前からの技術の蓄積が大きく寄与していたことが良く分かります。
日本は、ゼロ戦や戦艦大和を独自の工業力で作りましたが、それは当時の工業製品としては世界一のレベルでした。ゼロ戦の性能は太平洋戦争初期は世界トップの性能でした。 戦艦大和は戦略的にまずい面があったため、十分実力を発揮せずに終わりましたが、工業製品としては欧米諸国が真似できない一級品でした。例えば厚さ40cmの鋼板を加工してあの巨大な船を造ったのですから、その技術レベルは相当なものです。これらが戦後の造船業の発展の下地になったのでしょう。

ただし生産技術面ではアメリカに大きく遅れていました。アメリカではフォードの自動車大量生産が有名で、太平洋戦争以前からコンベヤー方式での大量生産が行われていましたから、戦闘機を大量生産することは十分可能でした。
一方日本の当時の生産技術はアメリカのレベルには遠く及ばない状況で、戦闘で戦闘機を失うとなかなか補充出来ません。一方アメリカの戦闘機は墜落しても直ぐに補充されるので、日本はしだいにじり貧になっていきました。
元ゼロ戦パイロットの皆さんの話を具体的に読むと、国力の違いが手に取るように理解できます。アメリカに勝てないのは当然でした。

最後になりますが、この本に出てくる人たちは皆さん、フェアープレイで人生を全うした人達ばかりです。
(2024-8-17)



【ホームに戻る】